徳岡神泉さんや、堂本印象さんのように、同じ人が描いた絵とは思えないほど作風が変化しているのを見ると、芸術がその人の人生に深く入り込んでいるのが見えます。徳岡神泉さんは、だんだん内省的になり、心象的になっていきますが、その様はドビュッシーにも似ていると思います。ドビュッシーが12曲のエチュードでたどり着いた境地に似たものを感じるのです。
1/19に「パーセルとブリテン」という演奏会があり、ブリテンのピアノ曲に取り組んでいます。ひとつは《ロマンティックなソナチネ》(1940)で、もうひとつは《夜の小品》(1969)です。どちらもノクターンなのですが、およそ30年の時を経て、曲想が深化しているのがよくわかります。ソナチネのほうは、1930年代に映画音楽の類を多く手掛けたこともあり、キャッチーなメロディーで始まります。《夜の小品》は、バルトークの《夜の音楽》と並んで素晴らしい作品だと思います。背景はバルトークのほうは密集した和音ですが、ブリテンのほうは浮遊感のある八分音符の動きで表現されています。そして奥行きのある響きの構造で書かれていて、そこが難しいところです。
この作品は《戦争レクイエム》の数年後に作曲されていることもあり、似た雰囲気を感じます。そういうわけで、新年は《戦争レクイエム》を楽譜を見ながら鑑賞しています(演奏は作曲者自身の指揮です)。なるほど、ここは少年合唱の透き通った声を想定しているのかも、とか、これは鐘の音だな、とか、《夜の小品》に通ずるものを多く見つけました。
今年も色々な演奏会やレコーディングの予定があり、楽しみな1年です。どうぞよろしくお願いいたします。