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シューマン夫妻とブラームス

クラリネットトリオKの演奏会に来て下さった皆様、酷暑のなかありがとうございました。大阪クラシック2024も最終日で、楽しかった一週間が終わってしまいました。また来年、お会いできますように☆

演奏した曲はブラームス最晩年の名曲、クラリネット三重奏曲イ短調、アンコールはブラームスが慕っていたクララ・シューマンの3つのロマンスから第1曲でした。ブラームスは自身を世に出してくれたロベルト・シューマンの、妻クララを、公私ともに支えていました。とくに、ロベルトが精神に異常をきたしてからは、クララにとってはブラームスこそが心の拠り所だったのではないかと思います。熱烈に恋をして結婚した相手が変わっていく姿を見なくてはならないのですから…。

クララとブラームスの関係については確かなことはわかりません。ただ、わたしはシューマン夫妻が大好きで、大学時代に前田昭雄氏の書いたシューマンについての本を何度も何度も読んでいました。その中のロベルトの臨終のシーン。錯乱状態に陥ったロベルトのもとに駆け付けたクララを見て、もはや何も認識できなかったロベルトが一言、「わかるよ…」と言って亡くなるのです。その項になると涙なくしては前に読み進めることができなくなり、毎度感動で胸がいっぱいになりました。

ところが、先ごろ読んだ本(著者を失念)では、彼が言ったのは「Ich weiss…」(わたしは知っている)つまり彼女とブラームスの関係を、と解釈できると。感動どころか、とんでもない修羅場。そもそも、言ったかどうかも怪しいですが、そうか、その可能性もあったのかとショックを受けたのと同時に、齢二十歳の純粋さを再認識しました…。

今回の大阪クラシックでは、初日にロベルトのピアノ四重奏を演奏し、最終日にブラームスのクラリネット三重奏、クララのロマンスで締め括り、少し暗示的だったと思いました。このような三人模様を想像するのもまた、楽しいことです。

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