先日、市立伊丹ミュージアムへ「虫展」を観に行きました。わたしは、富士山の麓、自然豊かな富士宮市で育ち、コオロギやトンボを追いかけ回していたのが懐かしい思い出です。今では虫は苦手になってしまいましたが、この展覧会は虫を描いた作品がとても面白そうだったので足を運びました。
作品は江戸時代のものが多く、描かれた虫たちの、なんと生き生きしていること!ときにユーモラスに、ときにグロテスクに、ときに愛らしく、描かれています。昆虫を人間に見立てた絵などは可愛らしく、日常を共に生きる存在としての優しい眼差しが感じられました。一方で、害虫や得体のしれない虫は怖ろしく描かれて、警鐘の意が込められています。どの虫がどのような毒を持っていて、どのように接触するとどのような症状を伴うのか、今ほどに明らかになっていないわけですから、ある程度の情報が気軽に手に入ってしまう現代には失われてしまった想像力+創造力が、絵から感じられました。
まるで「妖怪」のようだと興味深く観ていると、小松和彦さんの講演会の告知が載っていました。その名も「虫と妖怪」。すでに終わってしまっていて残念でした。
その日は何となく、カフカの『変身』を読んで眠りにつきました。