今度の日曜日に、京都コンサートホールで、わたしが学生時代から携わっている合唱団「京都シティーフィル合唱団」の演奏会があります。曲目はヴェルディのレクイエムです。今回の演奏会は二重の意味で特別なものです。ひとつは、終戦80年を記念していること、もうひとつは常任指揮者の明石氏がその任を退かれることです。齢82歳の明石さんにとって、戦争の記憶はさほど無いと思いますが、戦後の混乱を過ごした幼少期は、忘れることは出来ないことのようで、いつも太平洋戦争のことは「ついこないだの戦争」と仰っています。きっとこの演奏会にかける思いは一段と強いだろうと想像します。良い演奏会になるよう、心から祈っています。
これまで朝ドラを観る習慣などありませんでしたが、今回の『あんぱん』にはハマっています。戦争のシーンは本当に涙の連続でした。戦死したやなせたかしさんの弟の姿を見ると、このように20代の才能のある若者を亡き者にする戦争の愚かさに気付かされます。戦争をしている期間だけではなく、彼らが活躍するはずだったその後の20年30年が失われてしまう。少なくともその20年30年の文化振興が遅れてしまう。そう考えると、本当の終戦とはいつなのでしょうか。ぽっかり穴が開いたままで、まだ、傷は癒えていないままなのかもしれません。
お隣の韓国は、戦争でこてんぱんにやられてしまった日本とは事情が異なるようです。以前出会った韓国人の男の子が、必死に色んなコンクールを受けていて、理由を尋ねると、一定のレベル以上のコンクールで入賞すると、兵役から逃れることかできる、だから何としてでも上位に入りたい、ということでした。韓国人が国際コンクールで上位を占めるのは、こうした背景も大きいと思います。文字通り、人生を賭けた挑戦、なわけです。良い悪いは別として、こうして文化の停滞を防ごうとしているのだということは理解できます。
余談ですが、わたしのひそかな楽しみは『あんぱん』の主題歌です。初めて聞いたときは、歌詞の内容がまったく聞き取れず、ショックを受けました。歌詞というものはもはや必要ないのか、あるのは言葉の響きとリズムのみなのか、と考えましたが、不思議なことに、毎日聴くにつれ、だんだんと聴き取れるようになってきました。たぶん素敵な歌詞だと思いますが、全部書き出せたら答え合わせをするつもりです。