ブログ

Blog
  1. Home
  2. /
  3. ブログ
  4. /
  5. ナスフレ2025

ナスフレ2025

あっという間に2025年を終えようとしています。年の始めには、練習計画を立てて、諸々余裕を持って臨もうとするのですが、なかなか計画通りにはいかないものです。でも、演奏活動はかなり充実して、やりたいこと、いやそれ以上が出来たと思うので、今はひとりで、ワインを片手に、感慨に耽っています。

年末は久しぶりに映画を観ました。《プラハの春 不屈のラジオ報道》です。2024年にチェコで大ヒットした映画です。1968年8月の、ワルシャワ条約機構軍による軍事侵攻を描いたもの。このような時期に、この映画を作るところが、いかにもチェコ人らしいと思いました。ウクライナのことは、まったく他人事ではないのですよね…。ふと補足が欲しくなり、だいぶ昔の小説、春江一也さんの『プラハの春』を読み返していました。この小説は、外交官であった著者の経験による(?)恋愛に関する部分は少し恥ずかしくなりますが(人のプライベートを覗き見しているような気がして)、歴史に関してはかなり詳しく順を追って情勢が書かれているのでオススメです。結局いかなる政治体制においても、権力というのはなくならないというのは小説の登場人物によるセリフですが、映画を観ると、果たして自分はそれに対しどのような行動を起こすのだろうか、何もしないのか、映画の登場人物に投影してちょっと背筋が凍る思いでした。

12/14の公演「マリアの生涯」のプログラムで、自分がなぜ、ヒンデミットに向き合っているのか、その発端のようなことは書きました。2度の世界大戦がもたらしたものについて考える機会があったからです。それは人類の本当に悲惨な経験で、その時代の音楽をする者としては避けて通れない歴史の一部ですが、1945年に終戦したとて、歴史は続き、どの国も万々歳となったのではありません。戦争の記憶は復讐の刃にもなりますし、チェコスロバキアのように、新たな苦しみにもがくこともありました。戦争は終わらなかった。そうしたことに、想像力をめぐらせることが出来るようになりたい、そして寄り添う事が出来るようになりたい、そんなふうに思っています。大したことは出来ませんが。

また来年の練習計画を立てながら、年を越します。今年演奏会にお越し下さった皆様、ホームページをご覧になって下さった皆様、お世話になった皆様、ありがとうございました。良いお年をお迎え下さい。