17日(火)のクリスマスコンサートが無事に終わりました。たくさんの方にお越しいただき、ありがとうございました。今回はお茶菓子付きで、お菓子は香川県の「ばいこう堂」さんの和三盆でした!楽器や楽譜を形どった可愛らしいお菓子で、おすすめです。
プログラムは、バッハ、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ショパンの比較的よく知られている曲を選びました。なかでも、ベートーヴェンのソナタ「ヴァルトシュタイン」は傑作です。ベートーヴェンの32曲あるソナタは、それぞれ見事に異なる性格を持っていて、ピアニストならば避けては通れない道だと思います。この曲は一貫して躍動感と推進力に溢れています。それはおそらく、リズムだけではなく、頻繁に交代する主和音と属和音によるものでもあります。そして、見事な音響効果。最高音域と最低音域がこれでもかと頻出し、コントラストが鮮やかです。ベートーヴェンはこの頃、エラールのピアノを贈られ、その豊かな音に触発されたのだと考えられています。そのせいか、わたしには和音の即興性がつねに支配しているように見えます。その書き方はフレンチ・バロックにも似ていて(曲想は違いますが)、それは単なる偶然でしょうか…。
本来は全楽章弾くべきですが、今回は第1楽章のみ。ですがそれもまた、サロンぽくて良いでしょう。
長年勉強しているベートーヴェンですが、たとえば第九は、正直なところあまり共感できません。昔、第九の合唱の伴奏をしていたとき、あの有名なMの部分にくると指揮者が「ここは、日米安保のときに、河原町通をみんなでデモ行進したときの風景を思い出すんや!」と仰っていて、なるほど、そういう経験と結びつけるのかと感心した覚えがあります。そういうわけで、わたしは「兄弟よ!」などと言われると緊張して逃げてしまいたくなります。
…とにかく、ベートーヴェンは聴く方にも弾く方にも、かなりの集中力が強いられます。これからも末永く、お付き合いさせていただきたいと思います。