ボフミル・フラバルの作品を初めて読みました。もう何年も前、京都シネマで映画を上映していたけれど、そのときは行けなくて、後悔していました。そういうわけで、先入観なく読めました。
第一印象は、細密画のような描写です。人物も物も色彩豊かに描かれていて、動作もとても丁寧で細かい。途中から政治色が濃くなっていきますが、読み進めていくうちに、前半とリンクしていき…流行りの言葉で言うと、伏線が回収されていきます。人物や動作には対比のメリハリが効いていて、シュールでゾクゾクします(チェコ人らしい皮肉も散りばめられています)。そういう意味では、小説のお手本とも言うべき作品です。
最近、人間は生まれながらに孤独を恐れているのではないかと思うことがあります。最後に主人公が世捨て人になってもなお、孤独を受け入れず、鏡の中の自分と対話する場面は印象的でした。
今度は映画のほうを見てみたいです。