今週はCoRe KyotoのYouTubeチャンネル用にいくつか録音しました。ひとつは大澤壽人さんの《富士山》。短い曲ですが、音の重なり合いが美しく響く曲です。
わたしは幼少期を静岡県富士宮市という、富士山の麓で過ごしましたので、富士山というと「常に近くにあるもの」、「日常に当たり前にある風景」に他なりませんでした。肉眼で山頂付近にある建物が見えていました。登ったことはないのですが。あまり霊的なものであるとか、パワースポットであるとか、そういうふうに感じたことはなくて、今日はスカッとしているな、今日は元気がないな、というふうにごく身近な存在でした。実際に登ってみるときっと見え方は変わるのだろうと想像します。
ということもあり、大澤さんの描く富士山の風景は想像しやすかったです。上述したように、さまざまな和音が響き合うところが、荘厳さ、懐の深さを感じさせます。多用されるグリッサンドは、朦朧体のように、空気が立ち込める様が浮かびますし、高音域の和音が重なっていく旋律は、雪が降り積もっていくように聞こえます。
途中、語りかけるような、自問自答するような場面は、「その後どう?」「しばらくねぇ」―あれは《さくら横ちょう》―のような日本的な奥ゆかしさを感じました。
5分にも満たない曲ですが、日本らしい美しさを備えた佳曲です。今年はぜひ、懐かしい故郷を訪れたいと思います。