ライフワークであるYoutubeチャンネル「Czech Piano Music Channel」のレコーディングが、遅々として進まない。気づけば去年の10月から遠ざかっていましたが、先月末にようやく今年最初のレコーディングが実現しました。曲目はスク《夏の印象》、コジェルフのソナタop.15-2、ドゥシークの3つのソナタop.39です。コジェルフは、モーツァルトがヴィーンに来るよりも先に、当地でフリーランスの先駆けとして活動していました。op.15-2はハ長調で、モーツァルトのハ長調のソナタと同様にユニゾンで開始します。息の長いクレシェンドも同様で、マンハイム楽派が見え隠れします。コジェルフのソナタはいつもドキドキ☆ワクワクさせてくれますが、この時期のソナタはとくに、疾風怒濤の劇的な要素が多めです。
しかし、ドゥシークと比べると、なんと統制のとれた音楽であることか。ドゥシークは人生においても(わかっているだけでも)破天荒、向こう見ずで、場当たり的なことが多く、それは音楽にも如実に表れています。今回録音した3つのソナタも、まさにボヘミアンというべき自由さ。まるで今思いついたかのような不規則なフレーズ構造。突如レントラーが現れたり(op.39-3終楽章)、ふいに脈略なくパッセージが挿入されたり…。でもわたしにとっては、そこがたまらない魅力です。困惑することはありますが、刹那的な楽しみみたいなものがあって、飽きることがありません。長いこと取り組んでいるにもかかわらず、いまだに新しい発見も多々あります。…といってもピアノ・ソナタは30曲以上あるので、ドゥシークの旅、道のりはまだまだ長いです。